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院長ブログ

点鼻薬について(2021.03.06更新)

関東地方ではスギ花粉の飛散がい日が増えていて、外来も花粉症の方でにぎわっています。
一般的には、花粉症に対する治療は内服薬が中心となりますが、点鼻薬というオプションもあります。点鼻薬はうまく使えばとても有効なツールですが、点鼻薬についての誤解があったり、点鼻薬に対しての考えが患者さんによってだいぶ違っているものだ、と思いましたので、私の現時点で考える点鼻薬の考え方・使い方をお伝えします。

まず、クリニックで処方する点鼻薬は3種類あります。
①ステロイド点鼻薬
②抗ヒスタミン薬
③血管収縮薬
これらの点鼻薬の違いを知ることが大切です。

①ステロイド点鼻薬

まず、1つ目で治療の中心となるステロイド点鼻薬について説明します。この薬は即効性はありませんが、1日1回の点鼻で1日しっかり効いてくれる、という特徴があります。イメージとしては1日1回(あるいは2回)飲む内服薬と同じ、とご理解ください。しかも、症状のでる鼻に“直接”振りかけるという意味では、非常に効率のいい治療手段となります。ステロイドと聞くと怖がる方も多いですが、こちらは局所的に効果がありますが、全身的には吸収されづらい特徴があるので、安心して使えます。また、花粉症治療に特有な”眠気“がないというのもいい点です。
ただ、患者さんとお話している中で、ステロイド点鼻薬を以前処方されたことがあるが、

「点鼻薬は効かない」
「あまり使わなかった」

との声を聞きます。
一般の方が“点鼻薬”と聞くと、薬局で売っている点鼻薬を想像するようです。こちらは、鼻がつまった時や鼻水が出る時に、適宜に使う頓用薬で、これは②抗ヒスタミン薬、③血管収縮薬が該当し、こちらには即効性があります。一方、ステロイド点鼻薬は即効性がありませんので、即効性を期待して点鼻をしても当然のこととして「効果はありません」。それは使い方が間違っているのです。そして、即効性がないため「あまり使わなかった」という結果になってしまうのです。
これは非常にもったいないことで、単に使い方が間違っているのです。ある意味、私たちや薬剤師の説明が不十分なのかもしれませんね。そこで、そういった反省も踏まえて、今ではしっかりと説明するようにしています。

「ステロイド点鼻薬は1日1回の使用で、飲み薬と同じようにじんわりと効く薬です。内服薬を補う効果がありますので、ぜひ毎日しっかりと点鼻してください。しっかりと忘れないで点鼻薬を使うおススメの方法は、ほかの内服薬と一緒のタイミングで使用してもらうことです。例えば、寝る前に内服薬を飲むようでしたら、薬を飲んだ直後にスプレーしてください。そのためにも、内服薬と一緒に並べておいてください。」

とアドバイスをすることにしています。この方法でかなりしっかりと使っていただけます。しかも、点鼻薬をしっかりと毎日使っていらっしゃる方は、症状もうまく抑えられているようです。

「お薬を変えてください」
「イマイチ効かないんです」

という方の多くは、ステロイド点鼻薬を処方していない方だったり、処方していても使っていない方が多い印象です。是非正しい使い方を知っていただいて、症状をしっかりと抑えていきましょう。

②抗ヒスタミン薬

次に、2つ目の抗ヒスタミン薬の点鼻薬です。これはもともと内服薬としても使われている成分を点鼻薬にしたものです。ステロイド点鼻薬の登場する前は、点鼻薬の主流を担っていましたが、最近は補助的な位置づけにあります。ただ、ステロイド点鼻薬と違って即効性がありますので、現在では頓服薬として使っています。ですから、市販の点鼻薬の感覚で使う場合は、この抗ヒスタミン薬の点鼻薬を処方いたします。1日に3,4回まで使えるというのも使い勝手がいいです。

③血管収縮薬

最後が、3つ目の血管収縮薬の点鼻薬で、これは全くお勧めしません。血管収縮薬は一時的には有効なのですが、有効時間が短いので何度も使う羽目になります。その上、長期間の使用で、薬剤性鼻炎という病態になり、新たな鼻閉の原因となります。学会のガイドラインでも、血管収縮薬の点鼻薬は“連用により薬剤性鼻炎になる”、“10日ほどの使用に留めるよう指導すべき”、“市販薬に含まれしばしば濫用される”と記載されています。
ですから、基本的に私は処方しません
どうしてもこのお薬を処方してほしいという方は、別の医療機関を受診していただいた方がいいかもしれません。私も“プロの矜持”がありますので、そうたやすく処方するわけにはいきません。このことで、一部の方から嫌われることは承知していますが、やはり“プロの矜持”を曲げるわけにはいきません。お互い不毛な時間を過ごすのもどうかと思いますので、ぜひご理解いただきますようお願いします。

そして、最後にお伝えしたいのは、市販の点鼻薬を安易に使うべきではない、ということです。それは、市販の点鼻薬の多くが“全くお勧めしない”血管収縮薬だからです。もちろんほかの成分も含まれていることもありますが、一般の方にはその違いはなかなかわかりません。学会でもその使用に注意を勧告している薬剤を市中のドラックストアで簡単に買えてしまう、この状態は私としては全く信じられません。こんなことを放置している、この国の厚生労働行政って何でしょう、って思ってしまいます。

まとめ

さて、最後にまとめますと、
① ステロイド点鼻薬を内服薬と同じタイミングで使う。
② 頓服する場合は、抗ヒスタミン薬の点鼻薬を使う。
③ 市販の点鼻薬を含め、血管収縮薬を使わない。
以上です。

ぜひ、参考にしていただき、よりよい花粉症治療を実践していきましょう。

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