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夏バテの漢方薬

[2020.08.08]

今までこのブログでは、「クリニック建築日記」となっていましたが、今回は私の得意分野である漢方薬に注目したいと思います。
今年は長い梅雨がやっと終わったと思ったら、今度は急な猛暑、皆さん体調を崩していませんか?数年前から「熱中症」がにわかに注目されるようになりましたが、そこまでいかなくても「夏バテ」している方は多いのではないかと思います。

「夏バテ」に効く薬って、一般のお薬ではありませんが、漢方薬にはちゃんとあるんです。厳密には「夏バテ」ではなく、暑気あたり、夏やせという病名になるのですが、イメージは伝わってきますよね。しかも、病院で処方される医療用漢方薬で5種類もあります。具体的には清暑益気湯、五苓散、補中益気湯、柴苓湯、胃苓湯ですが、一番初めに挙げた清暑益気湯は、その処方名からして特徴があります。清暑益気湯は「暑(邪)を清し、気を益(ま)す」という、効能・効果がはっきりわかる処方名になっています。

もうちょっと清暑益気湯についてのウンチクにお付き合いください。先ほど書きました「暑邪」という言葉、東洋医学では病気の原因の一つとして“邪”という考え方を取り入れています。現代医学では、細菌・ウイルスという概念がありますが、東洋医学、あるいは西洋医学でも細菌という概念があるまでは、その原因として「何か悪いもの」のような概念を考えていました。東洋医学では、いくつかの“邪”がありますが、風邪(“ふうじゃ”と読みます)、寒邪、熱邪(火邪)、湿邪、燥邪、暑邪の6つがあり、その一つが暑邪です。最初の風邪の“風”は、風のように拡がるというイメージで、感染症のような病態、とお考え下さい。そのほかは、冷えや熱、湿気に乾燥、そして夏の暑さで、四季の変化などで説明できるので、なんとなくイメージしやすくないですか?その暑邪を「清し」、すなわち「追い払い」、気を益(ま)します。ですから、夏の暑さからくる“邪”を追い払い、体力(気)が落ちているところを持ち上げる、という意味です。まさに、夏バテにぴったりの漢方薬だと思いませんか?誤解を恐れずに言えば、処方名を聞いただけで、「夏バテ」が治っちゃいそうですね。

ぜひ、そんな漢方薬があることを知っていただければと思います。

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