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耳の症状と疾患について

耳の症状について

難聴

"聞こえづらい"と一口に言っても、難聴の原因はいろいろあります。耳の穴に耳垢(みみあか)がたまっただけのものから、突発性難聴、あるいは聴神経腫瘍という脳腫瘍の一種だったりすることもあります。これらの疾患をしっかりと鑑別するためにも、鼓膜の診察聴力検査などの検査が大切です。実際に聴力検査の結果を正確に読むのは難しいですが、患者さんには検査結果を少しでも知ってほしいので、院内では動画にしてその見方を提示していおり、それをYouTubeに掲載しましたので、ぜひご覧ください。

耳鳴り

ちょっと疲れた時などに数秒間ピーっとなったりすることは誰にでもありますよね。ただ、その耳鳴りがずっとなり続けている場合は、一度クリニックへの受診をお勧めします。検査の結果、年齢的な変化だったり、原因不明の耳鳴りだったりで、特に治療を必要としないで様子をみる場合も多いのです。ただ、何らかの疾患のサインであることもありますので、きちんと検査をすることが大切です。

耳垂れ

耳の穴から液体が流れることを“耳垂れ”といいます。中耳炎などにより膿が出てくる場合もありますが、お風呂のお水が入ったり、汗が耳に入ったりする場合もあります。また多くの場合、お耳をいじりすぎて起こる外耳炎が原因のことが多い印象です。その場合は、綿棒に色がつくことを「耳垂れ」と言っていらっしゃる方も多いです。こういった場合は耳の中をしっかりと診察し、必要であれば細菌検査などを行うこともあります。

耳の構造

耳の機能として、聞こえを感じるほか、平衡感覚をつかさどる、という大切な機能があります。その耳の病気を理解するうえで、耳の構造を知ることはとても大切です。

 

外観上の”耳”を耳介といい、耳の穴を外耳道といいます。これらを合わせた領域を外耳と呼びます。

外耳道の突き当りが鼓膜です。鼓膜の裏側の空洞を中耳といい、ここに炎症が起こるのが中耳炎です。この中耳と“鼻”の奥は耳管という細い管でつながっています。高いところにいくと、耳が詰まる感じがしますよね。この時に、唾液を飲むと耳の詰まりが良くなるのは、この耳管での空気の行き来があるからです。なお、大人とくらべて子供では、この耳管が太く、短く、水平に近い、という特徴があります。このような理由で、鼻の炎症が耳管を通って中耳に波及しやすいために、子供は大人に比べて急性中耳炎になりやすいのです。

内耳はその中耳のさらに奥にあるもので、聞こえや平衡感覚をつかさどる蝸牛(かぎゅう)、三半規管(さんはんきかん)などがあります。

使用イラスト(c)フリーメディカルイラスト図鑑

 

耳の疾患について

外耳

外耳炎

外耳道に炎症が起こったものが外耳炎です。耳の痛みやかゆみなどの症状が多いですが、炎症が強くなると耳のつまり感や聞こえの悪さを感じる方もいます。その多くの原因は耳掃除のやりすぎですので、あまり耳をいじりすぎないようにしましょう。外耳炎の治療の一つとして”点耳薬”という耳に液体の治療薬を垂らす治療法もあります。

外耳炎関係の動画はほかにも以下のものもあります。

外耳炎と中耳炎の違いについての動画

点耳薬の動画

外耳炎②の動画

外耳道異物

夏になると耳の穴に虫が入ってしまったという方や、お子さんがおもちゃ(ビーズやBB弾のたまなど)などが入れてしまうことがあります。虫などは耳の穴に光をかざすことで飛び出してくることもありますが、綿棒や耳かきを使って刺激をしないでください。また、おもちゃの場合、押し込んでしまうこともあるので、できるだけいじらないで、可能であれば同じおもちゃを持ってきてもらえますと、取り出すときの参考になるので助かります。

外耳道真菌症

外耳道の炎症のうち、原因が真菌(いわゆるカビです)のものを外耳道真菌症といいます。通常の外耳炎より治療期間が長くなる傾向にあります。

耳垢栓塞

耳の穴に耳垢(みみあか)が詰まった状態です。聞こえにくさや耳閉感がきっかけで来院され、お耳をみて判明します。耳掃除の過程で、自分で奥に耳垢を詰め込んでしまう方もおり、注意が必要です。

中耳

”中耳炎”

鼓膜の奥の空間を中耳といい、そこに炎症が起こったものが中耳炎です。一口に中耳炎といっても、いくつかのタイプに分かれ、その特徴は異なってきます。

急性中耳炎

”急性”に起こって、耳の痛みなどの症状を伴うことが多いのが、急性中耳炎です。子供さんに多い病気で、一般的に”中耳炎”といえば、この病気を示します。急性中耳炎の原因の多くは、”鼻”です。先に述べたように子供は、鼻の炎症が簡単に中耳に波及しやすいのです。そのため、急性中耳炎はもともと鼻水や鼻閉の症状があることが多く、鼻すすりをしているお子さんに多い印象です。そのため、急性中耳炎と同時に鼻の治療もすることが重要です。

滲出性中耳炎

中耳の空洞に滲出液(水のようなもの)がたまる病気です。多くは急性中耳炎から移行する病態ですので、急性中耳炎の治療をしっかりとすることが大切です。こちらは耳の痛みなどはあまりなく聞こえにくさが主な症状で、俗に”痛くない中耳炎”とも言われています。ただ、子供さんに多い病気ですので、自分から”聞こえない”とは言えない場合もあり、注意が必要です。

慢性中耳炎

鼓膜に穴が開いているなどの状態で、中耳の空洞で炎症が起こったものです。耳垂れなどの症状を起こすことがあります。

真珠腫性中耳炎

”真珠”ときれいな名前とは裏腹に、怖い病気です。耳の周りの骨を壊す病気で、一般的に手術が必要となります。耳からの診察だけでは診断が難しく、CT検査での診断が必要です。真珠主性中耳炎を疑う場合には、CT検査のできる病院をご紹介し、診断・治療をお願いします。

耳管開放症

耳と鼻をつなぐ管を耳管といいます。通常は塞がっていて、ツバを飲み込むと一時的に開放するのですが、それが開放したままになってしまうのが、耳管開放症です。耳閉感や自分の声が耳に強く響く(自声強聴といいます)などの症状があります。首を下に向けたり、寝転んだりすると、その症状が改善するという特徴があります。

内耳

突発性難聴

読んで字のごとく”突発的”におこる難聴のことです。難聴以外にも耳鳴りや耳閉感を伴うこともあります。原因は様々なものがあるとされます。早めの治療(一般的には1週間以内)が勧められますので、難聴の症状があったら早めの受診をしてください。治療方法としてステロイド治療を行いますが、糖尿病のある方はクリニックでは治療が困難となりますので、その場合は病院の耳鼻科を受診することをお勧めします。

急性低音障害性感音難聴

突発性難聴と同様に”急性”に起こる難聴です。突発性難聴との違いは、低い音のみが聞こえづらいこと、難聴の程度が比較的軽いこと、症状(難聴や耳鳴り、耳閉感)の変動があること、が特徴です。若い女性に多い病態です。突発性難聴との鑑別は聴力検査を行わないとわかりませんので、早めの受診をお勧めします。

加齢性難聴

お年を重ねるごとに進行する難聴です。原因が加齢性変化ですので、残念ながらお薬などで治すことはできません(若返りのお薬がない、ということです)。しかし、難聴の程度によっては補聴器が有効の場合もありますので、補聴器装用をお勧めすることもあります。ただし、補聴器を装用しても早口の人の声は聞き取りづらいので、ご家族の方もゆっくりとしゃべっていただく、といった配慮も重要です。

耳掃除について

耳掃除はどれくらいの間隔ですればいいのか、皆さんからよく質問されます。僕は、耳掃除は一生懸命しなくていいです、とお答えしています。アメリカの耳鼻咽喉科学会でも耳掃除はしないでください、との勧告があるくらいです。そもそも耳垢は、耳の奥にある鼓膜の表面の皮膚細胞が、少しずつ外側に出てきたもので、数か月かけて耳の入り口ではがれたものが耳垢となるので、特に耳掃除をしなくても自然に排泄されるようにできています。その様子に関して、日本耳鼻咽喉科学会静岡県地方部会の先生が「耳のそうじは本当に必要なの?」(12分18秒)という動画を作成されて、youtubeで公開されています。すごくわかりやすくできていますので、ぜひご覧になってください。

それでも、耳掃除をしたい気持ちは、よくわかります。だって、耳そうじってきもちいいですよね。そこで僕はそういう気持ちに忖度(そんたく)して、月に2-3回程度くらいに留めてください、ともお答えしています。なかには毎日掃除する、という方もいらっしゃいますが、これはお勧めしません。過剰な刺激が外耳炎を引き起こしたり、かえって耳垢を奥に押し込んでしまったりするからです。「私は(竹の)耳かきを使っていないので、大丈夫」とおっしゃる方も多いのですが、実は綿棒も使わないほうがいいです。お風呂上がりの綿棒も不要で、一般的には耳の中に残った水分は、体温で蒸発してしまうことが多いです。詳しくは下段のアンケート動画をご覧いただくといいのですが、4人に1人は毎日耳掃除をしているようです。また、そのうち2/3の方が風呂上りに耳掃除している、という結果でした。

ここまでをまとめますと、「理屈の上では、耳掃除はしないほうがいいですが、どうしてもいじるなら月に2-3回にしてください」が、現在の僕の考え方です。

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