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のどの症状と疾患について

のどと口の症状

のどの痛み

のどの痛みは様々な原因で起こります。ちょっとヒリヒリする程度から、つばの飲むのも辛いくらい痛みと、痛みの程度も様々です。中には、咳をしすぎることでのどが痛くなるなど、のど以外のところに原因があることがあります。問診で痛み以外の症状をお伺いしたり、のどの状態をみたりすることでその原因を探っていきます。つばを飲むのも辛いくらいの痛みの場合、のどの奥が張れる怖い病気である扁桃周囲膿瘍急性喉頭蓋炎の可能性がります。それらの場合、手術が必要となる場合がありますので、クリニックではなく病院を受診することをお勧めします。

せき(咳)

咳は、大きく痰が絡む咳絡まない咳があります。痰が絡む咳は、「ゴホンゴホン」という音で、鼻水がのどに垂れたりのどの奥から痰が出てきたりする場合があります。鼻水が出るといった鼻の症状を伴うことがあり、鼻の病態も考慮に入れます。一方、痰が絡まない咳は、「コホンコホン」という乾いた音が特徴です。風邪の治り際にこういった咳が続くことが多いです。

咳について最も大切なことは、1か月以上続く咳の場合は必ず内科で診てもらってください。それは、結核などの特殊な病気が隠れていることがあるからです。「この令和の世の中で、結核なんて・・・」と思われる方も多いでしょうが、結核の患者さんはいまだにいらっしゃいます。そして、空気感染といって病気が広がりやすい性質があり注意が必要です。

息苦しい

のどの痛みやひどい咳で息苦しい場合は、クリニックでは対応できない場合があります。その場合は、病院への受診が望ましいです。

 

のどの構造

耳鼻咽喉科の”咽喉”は、咽頭(いんとう)、喉頭(こうとう)のことを意味します。それぞれ”のど”という意味ですが、医療関係者でもその違いをきちんと理解している人は少ないですので、一般の方がご存じないのも仕方がないと思います。

使用イラスト(c)フリーメディカルイラスト図鑑

咽頭は鼻の奥から、食道の入り口までをつなぐ部分です。主に食べ物の通り道となる部分です。

一方、喉頭は“のどぼとけ“の奥にある、主に空気の通り道です。人間は口から、食べ物と空気の両方を飲み込み、食べ物は食道・胃へ、空気は気管・肺へ振り分けるという”神業”を常に行っています。それが可能なのは、咽頭と喉頭の絶妙な連携がなせる業によるものです。

耳鼻咽喉科では、咽頭と喉頭をしっかり観察するために、喉頭ファイバースコープという検査を行います。鼻に麻酔のスプレーをして、そのあと鼻からファイバースコープを挿入して、鼻腔→咽頭→喉頭の順番に見ていきます。胃カメラと比べますと、ファイバースコープが細いことが特徴であり、鼻から入れるのでオエッとしづらいです。また、直前にお食事を摂っていても検査ができますので、胃カメラのように予約を取らなくても、その日に検査をできる利点があります。

 

のどの疾患

扁桃

急性扁桃炎

のどの奥の両脇に見える口蓋扁桃(俗に言う”扁桃腺”)が急性炎症を起こしたものを急性扁桃炎といいます。口蓋扁桃の大きさには個人差があり、単に大きいだけの場合は、扁桃炎といいません。急性扁桃炎の場合、典型的には口蓋扁桃が赤くなり、白いものが付着する場合があります。のどの痛み以外に、あごのラインを触ると痛がる方が多いです。

慢性扁桃炎

急性扁桃炎を年に4-5回繰り返す場合、慢性扁桃炎という診断になります。すべての方が当てはまるわけではありませんが、状況によっては手術で口蓋扁桃の摘出をお勧めする場合もあります。

扁桃周囲膿瘍

急性扁桃炎の悪化したもので、口蓋扁桃の周囲に膿がたまった病態です。のどの痛みだけでなく、口が開きにくいしゃべりにくい、唾液を飲み込むのもつらいなどの症状が出ます。放っておくと命に係わることがあります。治療としては、たまった膿を出すための処置・手術と、抗生剤の点滴治療が必要で、一般的に入院で治療を行います。

伝染性単核球症

急性扁桃炎の一部で、EBウイルスというウイルスによって引き起こされます。のどの痛み以外に、首の後ろのほうのリンパ節が腫れたり、全身倦怠感があったり場合が多いです。治療については、抗生剤は無効であり、対症療法を行いながら自然軽快を待つことになります。抗生剤に関しては、場合によっては皮膚症状を引き起こします可能性があり、注意が必要です。

咽頭・喉頭

急性喉頭蓋炎

喉頭を“蓋”する部分を、喉頭蓋と呼びます。通常は薄い板状の形ですが、ここに炎症が広がると喉頭蓋がピンポン玉のように腫れることがあります。すると、空気の通り道がふさがれてしまって、窒息の可能性のある怖い病気です。のどの痛みの症状以外に、唾液が呑み込めずくごもった声が特徴的です。早急に手術のできる医療機関で対応する必要があります。

急性咽頭炎

いわゆる「のど風邪」です。のどの奥の壁(咽頭後壁といいます)が赤くなります。「扁桃が腫れて、赤いんです」との訴えの方でも、結構、口蓋扁桃は腫れていないで、実はこの咽頭炎の状態の方が多いものです。

咽喉頭異常感症

のどの違和感で耳鼻科を受診される方は多いのですが、喉頭ファイバースコープなどの検査をしても原因がわからない場合、この診断となります。“原因が不明”とのことで心配される方が多いのですが、漢方薬で対処できる場合もあります。このページの下で詳しくお話します。

逆流性食道炎

通常は食道から胃に食物は一方通行に流れますが、胃から食道に胃液が逆流するのが逆流性食道炎です。その胃液がさらにのどまで逆流してのどの症状を引き起こすことがあります。のどの違和感や咳などの症状のほか、胸やけゲップなどの症状を伴う方が多いです。その場合、胃酸を抑えるお薬を使います。

漢方治療について

東洋医学の領域では、咽喉頭異常感症のことを梅核気(ばいかくき)、あるいは咽中炙臠(いんちゅうしゃれん)といいます。前者は「梅の種がのどに詰まった状態」で、後者は「炙った(あぶった)肉が咽(のど)に詰まった状態」という意味です。漢方薬の原点は1800年前に書かれた『傷寒論』という本で、風邪の項でも述べましたが、その多くは急性疾患に対しての治療薬が書かれています。ただ同時に「のどの違和感」という症状に用いる治療薬も掲載されています。つまり、のどの違和感はずっと昔からたくさんの人が悩んできた症状なのです。ちなみに、その治療薬は現在でも医療用漢方薬として使うことができます。

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